裁定取引ってなに?
株価指数先物取引とは、将来のある時点(3ヶ月先や6ヶ月先など)に、株価指数(日経平均やTOPIX)を事前に決められた価格で売買することを約束する取引のことですが、この株価指数先物取引(以下「先物」)の理論価格と実際の価格との間には差(価格差)が生じることがあり、この先物と現物株の価格差を利用し、高い方を売って、安い方を買うことで、その価格差を利益として確保する取引のことを裁定取引(アービトラージ)といいます。
先物価格と現物価格の価格差を「ベーシス」、先物の理論価格と現物価格の差を「理論ベーシス」と呼びますが、ベーシスが理論ベーシスを上回っている場合は、先物を売り建てて、現物株(株価指数と連動するように構成された銘柄群)を買います。逆に、ベーシスが理論ベーシスを下回っている場合は、先物を買い建てて、現物株を売ります。ベーシスと理論ベーシスは、遅くとも取引最終日には必ず一致することになっています。なぜなら、先物の理論価格は、現物価格に取引最終日までの金利を上乗せして計算されており、取引最終日には金利がゼロになるため、ベーシスと理論ベーシスは一致することになるからです。このため、裁定取引では高い方を売って安い方を買った時点で、利益が確定します。後はベーシスと理論ベーシスが一致した時点で反対売買することで、リスクなしで利益を得ることができるのです。
裁定取引には大量の資金が必要となるため、機関投資家や金融機関などによって行われていますが、裁定取引は、株式相場に少なからぬ影響を与えています。例えば、株式相場が近い将来値上がりしそうだという見方が増えると、先物で買いが先行し、それに連動して現物株に裁定買いが入って株価を押し上げる働きをします。その結果、裁定取引に伴う現物株の買い残が増加することになります。逆に株式相場が近い将来値下がりしそうだという見方が増えると、大量の裁定買い残が売り(裁定解消売り)に向かい、現物株の値下がりを招くと同時に、先物にヘッジ売りが増え、それが裁定解消売りを加速します。その結果、先物が先行して値下がりし、現物株も下げを加速することになります。
このように、裁定取引は当面の相場に少なからぬ影響を与えており、例えば、「裁定解消売りが出て相場の下げを加速した」などという記事が新聞の相場欄に載ることがよくあります。